あらすじ
黒い影は一人、また一人と襲いかかってきます。逃げ道を探して庭の奥へ進むほど、作家が何のためにこの庭を造ったのかが気になってくる。物語は、下見に同行して回しているカメラの映像を思わせる書き方も混ぜながら進みます。誰が、何のために。怖がるのに忙しいのに、どこかで手がかりも拾わされている。
読みどころ
2007年に講談社ノベルスで出て、講談社文庫を経て、2024年3月からは角川ホラー文庫で読めます。殺人鬼が若者を襲うスラッシャー映画の型を、そのまま謎ときの舞台にしているのが狙いです。序文はダリオ・アルジェントに捧げられていて、巻末には作者が下敷きにした映画を紹介するノートが付いている。血の量は多めなので、苦手な人は気をつけてください。
こんな人に
おすすめしたいのは。ホラー映画の「お約束」に、ついツッコミを入れながら観てしまう人。
同じ作者の『忌館 ホラー作家の棲む家』も、ホラー作家と家をめぐる話です。こちらは静かにじわじわ来る怖さです。
向かないかもしれない人
血の量は多めなので、流血や襲撃の場面が苦手な人には勧めにくい。ホラー映画の型をなぞる作りゆえ、お約束に乗れない人は面白さの芯がつかみにくいかもしれない。
比べ読み
『ししりばの家』澤村伊智
家や庭という閉じた場所でも、怖さの種類が違う。『ししりばの家』は砂の違和感で逃げたくなくなる、静かに締めつける型。『スラッシャー 廃園の殺人』は黒い影が一人ずつ襲う映画の型を、謎ときの舞台に据える。血を避けたい日は『ししりば』、追われる緊張と手がかり拾いを同時に楽しみたい日はこちら。
『粘膜人間』飴村行
どちらも血や暴力の描写が多めで注意が要る。『粘膜人間』は河童が出てくる奇妙な世界とブラックユーモアが持ち味の、短めの作品。『スラッシャー』はホラー映画の約束事を下敷きにしながら、誰が何のためにという謎も拾わせる。刺激の奇抜さなら『粘膜人間』、仕掛けの手応えならこちら。














