あらすじ
田植えから稲刈りまでの作業が具体的に書かれます。水の管理、天候、無農薬での苦労。並行して、祖母の介護と、家族の過去の問題が扱われます。
読みどころ
働くことと食べることを、回復の手順として書いている作品です。読み口はやさしく、重い題材でも読み進められます。
こんな人に
おすすめしたいのは。農業や田舎暮らしの描写が好きな人。
同じ作者の『キネマの神様』も再生を描いた長編です。
向かないかもしれない人
稲作の工程が細かく続くため、農作業の描写に関心がない人には、冗長に映る恐れがあります。引きこもりや介護の題材を今は避けたい人にも不向きです。
比べ読み
『長いお別れ』中島京子
祖母の介護を扱う点で『長いお別れ』と重なるが、あちらは父の認知症に向き合う家族の十年を年ごとに追い、失われていく過程を笑いも交えて書く。こちらは米作りの作業が回復の手順になる。介護そのものに向き合うなら向こう、土と食から立ち直る話ならこちらを先に。
『東京すみっこごはん』成田名璃子
食べることが人を支える話として並ぶ『東京すみっこごはん』は、路地の共同台所で他人同士が食卓を囲む都会の話。こちらは蓼科の田んぼで田植えから稲刈りまでを追う。都会の夜に軽く読むなら向こう、季節の作業を通して一人の再生を見届けるならこちらが合います。













