あらすじ
サキは、リョウの両親が最初に授かり、生まれてこなかったはずの子どもでした。この世界では、リョウの代わりにサキが生まれている。二人は、元の世界とこちらの世界の違いを一つずつ確かめていきます。家族の関係、街の様子、そして恋人の運命。違いを見つけるたびに、リョウは自分という存在について考えざるをえなくなります。
読みどころ
米澤穂信の作品のなかでも、読後感の苦さでは指折りの一冊です。明るくて行動的なサキと、何ごとにも諦め気味のリョウの対比が鮮やかで、その対比こそが物語の核心になっている。青春小説の爽やかさを期待するとかなり打ちのめされるので、覚悟して読んでください。
こんな人に
おすすめしたいのは。自分がいてもいなくても変わらない、と感じたことがある人。
同じ作者の『氷菓』などの青春ミステリより、ずっと暗い方向に振り切った作品です。
向かないかもしれない人
青春ものに爽やかさを期待すると打ちのめされる、と紹介文自体が注意しているほど苦い話です。気分が沈んでいる時期なら、読む時期をずらす選び方もあります。
比べ読み
『黒猫館の殺人』綾辻行人
星は同じ並びですが、『黒猫館の殺人』は手記のどこに嘘があるかを探す館ものの謎解きで、シリーズの中でも読みやすい部類です。『ボトルネック』は謎よりも、自分がいない世界を確かめていく苦さが前に出ます。気持ちに余裕のない日は館もの、重さを受け止められる日はこちらを。
『顔』横山秀夫
『顔』は似顔絵を描く婦人警官が組織の中で居場所を探す連作短編集です。どちらも居場所を問う話ですが、大人の職場を舞台に一話ずつ区切れるのが『顔』、十代の主人公が自分の存在そのものを問われるのが『ボトルネック』。短く読みたいなら『顔』から、一つの問いに沈みたいならこちらから。














