あらすじ
館にはルールがあります。夜は個室から出てはいけない。事件が起きたら、全員で犯人を指名する。見事に犯人を当てれば報酬が増え、殺人者になれば報酬はさらに上がる。そしてついに、一人目の死体が見つかります。互いを疑うなか、結城は古典ミステリの知識を頼りに状況を読み解こうとします。
読みどころ
古典的な「館もの」のお約束が、作中でも半分冗談のように扱われます。ミステリ好きほどニヤリとできる仕掛けが多く、ミステリを読み慣れていない人は純粋にサスペンスとして楽しめる。どちらの読み方でも損をしない作りです。
こんな人に
おすすめしたいのは。閉じ込められた人々が疑い合う話が好きな人。
2010年に映画化されましたが、設定や展開はかなり違います。同じ作者の『黒牢城』とは、時代も雰囲気も正反対。
向かないかもしれない人
報酬のために殺人が起こりうる規則の下で、十二人が疑い合う。人の死をゲームの駒のように扱う状況そのものに抵抗がある人は、居心地の悪さが先に立つかもしれない。
比べ読み
『そして誰もいなくなった』Agatha Christie
閉ざされた場所で一人ずつ人が減る型の下敷きになったのが『そして誰もいなくなった』で、本作はその館もののお約束を作中で半ば冗談として扱う。星は同じ並び。古典を知ったうえで遊び心を楽しみたいならクリスティーを先に、予備知識なしでも入れるのは本作。
『孤狼の血』柚月裕子
ゲームのような規則の中で疑い合う本作と、昭和末期の広島を舞台に刑事と暴力団の癒着を追う『孤狼の血』。前者は遊びの効いた密室劇、後者は暴力の描写が強めの警察小説になる。頭を使う謎解きをしたい日は本作、荒々しい骨太な話に浸りたい時は孤狼の血へ。














