あらすじ
奉太郎、える、里志、摩耶花の四人が章ごとに語り手を交代します。同じ三日間を別の角度から見ることで、誰が何を見落としていたのかが分かる仕掛けです。文化祭の準備や部活動の描写も細かい。
読みどころ
盗まれた品の並びには意味がある。手がかりがすべて読者の前に出されているので、腰を据えれば自力で解けるタイプの謎です。里志の劣等感を扱った部分も、この巻の大きな柱になっています。
こんな人に
おすすめしたいのは。文化祭の空気ごと楽しみたい人。
古典部シリーズの三作目。前作は『愚者のエンドロール』です。
向かないかもしれない人
四人の語り手が交代しながら進む巻です。視点の切り替えがわずらわしい人や、謎だけを手早く追いたい人には、文化祭の準備や部活の細かな描写が回り道に映ります。
比べ読み
『46番目の密室』有栖川有栖
どちらも手がかりを読者の前に公平に並べる謎解きで、星もほぼ同じです。『46番目の密室』は密室ものの書き手として知られる作家が自身の別荘で命を落とす王道の本格。こちらの事件は文化祭での盗難で、消えた品の並びに意味が隠れています。殺人の密室なら有栖川作品、学校行事の騒がしさごと謎を解くなら古典部を。
『黒猫館の殺人』綾辻行人
どちらも語りの扱いに仕掛けがあります。『黒猫館の殺人』は記憶を失った老人の手記のどこに嘘があるかを探る形式。こちらは四人が章ごとに語り手を交代し、同じ三日間を角度を変えて見せます。一つの記録を疑う読み方を試すなら綾辻作品、複数の視点を突き合わせる面白さならこの巻を。














