あらすじ
作中の土地には独自の言葉と習慣があり、説明は最小限しか与えられません。読者は少年と同じ速度で、その世界の仕組みを飲み込んでいくことになります。後半では、穏の外の世界との関係が見えてきます。
読みどころ
日本の田舎の風景を、そのまま異世界として立ち上げるのがこの作者の持ち味です。ホラー文庫に入っていますが、読み心地は静かな幻想譚に近いところがあります。
こんな人に
おすすめしたいのは。不思議な土地を旅するような小説を読みたい人。
デビュー作は『夜市』。ほかに『草祭』『秋の牢獄』があります。
向かないかもしれない人
土地の言葉や習慣にほとんど説明が付かず、手探りで仕組みをつかみながら進む必要があります。設定を最初に整理してほしい人や、はっきり怖いホラーを求める人には静かすぎる本です。
比べ読み
『残月記』小田雅久仁
分類しにくい幻想作品どうしです。『残月記』は月をめぐる三つの話で、最後は月光で人を変える病が国中に広がり、文章の密度も高め。『雷の季節の終わりに』は隔てられた土地「穏」の掟と言葉を、説明を絞って少年の歩みに合わせて見せます。静かに入り込みたいなら恒川作品、濃い文章を浴びたいなら小田作品を。
『魔性の子』小野不由美
どちらもホラーの棚にありながら、別の世界とのつながりを抱えた作品です。『魔性の子』は転校生の周りで事故が続く学園ホラーで、単体で完結します。こちらは日本の田舎のような土地そのものが異界で、少年が掟を破って外へ出るところから話が動く。教室の怖さなら小野作品、旅のような幻想なら恒川作品を。














