あらすじ
時代は江戸中期。物語は語り手を替えながら、数十年の時間を行き来します。土地に伝わる話、家の因縁、金色様と呼ばれるものの正体。幻想と時代小説の中間の手触りです。
読みどころ
第67回日本推理作家協会賞の受賞作。怪異と人の業を、長い時間の中で釣り合わせる構成が評価されました。
こんな人に
おすすめしたいのは。時代小説と怪異の混じった話を読みたい人。
同じ作者の『夜市』『草祭』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
語り手が替わり、数十年の時間を行き来する作りなので、一人の主人公の筋をまっすぐ追いたい人には、つかみにくい構成かもしれない。触れた者の命を奪う機械が中心にある点も承知のうえで。
比べ読み
『巷説百物語』京極夏彦
どちらも江戸を舞台に怪異と人の業を扱う。「巷説百物語」は晴らせない恨みを妖怪の仕業に見せかけて片をつける仕掛けの連作で、一話ごとに区切りがある。「金色機械」は語り手を替えながら数十年を行き来する長い一本の流れ。短い単位で江戸の怪異に触れたいなら「巷説」から、時間をかけて因縁を追うならこちら。
『雨月物語』上田秋成
「雨月物語」は1776年の怪異譚九編で、死者が戻り蛇が女に化ける古典。「金色機械」は江戸中期に落ちてきた機械という奇想を、時代小説の手触りの長編に仕立てた作品。怪異小説の源流に触れたいなら「雨月」、因縁が積み重なる厚みを求めるならこちら。星の並びは同じなので、読みたい長さで選べる。














