あらすじ
天正六年、摂津の有岡城。城内では、人質の少年の死、手柄首をめぐる不可解な出来事など、説明のつかない事件が続きます。家臣の疑心暗鬼が広がれば、城は内側から崩れる。村重は自ら謎に挑むものの行き詰まり、囚われの官兵衛のもとへ降りていきます。季節ごとに一つずつ事件が起こる構成です。
読みどころ
戦国時代の言葉づかいに最初は少し構えますが、慣れると止まらなくなります。事件が解けるたびに、城の空気と村重の立場が少しずつ変わっていくので、謎解きが歴史のうねりとちゃんと噛み合っている。官兵衛がなぜ手を貸すのか、その理由が見えてくる終盤は圧が違います。
こんな人に
おすすめしたいのは。歴史小説とミステリ、どちらかが好きな人。
文庫でもしっかり厚みがあるので、時間のとれる休日に、腰を据えて読みたい本です。
向かないかもしれない人
戦国時代の言葉づかいで書かれ、読みやすさは星3つ。文庫でも厚みがあるので、短い時間で区切って軽く読みたい人や、歴史ものの言い回しが苦手な人には入りにくい。
比べ読み
『悪魔の手毬唄』横溝正史
閉じた共同体で人が死んでいく本格という点で重なる。『悪魔の手毬唄』は村の手毬唄の歌詞どおりに娘たちが殺され、読みやすさは星4つ。黒牢城は籠城中の城の怪事件を土牢の官兵衛が解く歴史ミステリで、戦国の言葉づかいに慣れが要ります。先に手毬唄で本格の型に親しみ、腰を据えられる休日に黒牢城を。
『その可能性はすでに考えた』井上真偽
星の並びはまったく同じですが、読ませ方が違います。『その可能性はすでに考えた』は合理的な説明を次々に否定していく論理の積み重ねで、その量の多さが特徴。黒牢城は季節ごとの事件が歴史の動きと噛み合い、謎解きが城の空気を変えていく。論理遊びに没頭したいならそちら、歴史と謎を同時に味わうなら本作。














